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アメリカ最後の介助犬訓練士のお仕事

2013/09/05 Thu

ハワイの滞在日数は15日の間でしたが、久しぶりの介助犬訓練士の仕事で大忙しでした。

訓練所の犬の数は7匹程度。
ほとんどが、名前が'A'からはじまる兄弟たち。
以前によくブログにも登場していたアストロ(Astro)くんの兄弟たちです。

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子犬も4ヶ月と5ヶ月のラブとゴールデンがいて、久しぶりの子犬タイムも楽しませてもらいました。

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今回の一番の目的はアストロくんの最終訓練と共同訓練。
約7ヶ月ぶりにあったアストロは、また一段と大きくなり、鼻も少しピンク色に変わっていました。
でも、相変わらずのマイペースぶり。。。

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アストロ君の卒業後のお仕事は、コートハウスドッグ。
コートハウスとは裁判所のこと。
裁判事件の関係者や被害者になってしまった子供や青少年またはその家族が、裁判のための証人尋問などを受けるときのストレスを軽減するために働く、ファシリティードッグです。

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アストロ君は人、特に子供に寄り添うのが大好きで、とってもおっとりとし穏やかな性格なので、この仕事にむいていると判断されました。
ハンドラーになるのは、心理学を専門としたカウンセラーなど。
ハンドラーさんは6日間の訓練をするために、ハワイに来てくださり、私を中心に基礎課程を勉強、練習しました。
残り5日間は、アストロと一緒に自宅に帰り、実際の仕事場での専門訓練が行われます。

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アストロの新しいお家はハンドラーさんのおうちがある、ワシントン州。
つまり、生まれ育ったハワイともこれでお別れです。

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アストロ君は私が子犬の頃から担当していた子犬なので、とても思い入れも深いですが、そのアストロ君が、これからはつらく苦しい経験をしている人々の心の支えになるよう、ハンドラーさんと一緒にたくさんの人々の心の支えになってくれると思うと、うれしく、そして誇らしい気持ちになります。
『アストロ、活躍を祈ってるよ。がんばってね。』


そして、この仕事を最後に、日本に帰国することになりました。
日本に帰国後のことは、まだ全く決まっていない状態ですが、何らかの形でこの仕事に携わっていければと思っています。
ブログの方も、続けていければと思いますので、今後ともよろしくお願いします。
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犬より人のほうが難しい

2008/10/24 Fri

共同訓練(クライアントさんが犬をもらうための2週間のトレーニング)まで、あと6週間をきりました。

介助犬訓練士とは、犬を介助犬に育てるだけではなく、クライアントさんに介助犬を受け渡す共同訓練もしなければなりません。
実際、前者より後者のほうがよっぽど難しいのです。

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クライアントさんの訓練をするのは、彼らのために犬を訓練してきた生徒たち。
「今までに作り上げてきた犬との絆を、どのようにしてクライアントさんに移し変えるか?」というのが今日の課題。

2人+一匹がペアになって、
犬を育ててきたのは横に立っている生徒。
車椅子に乗っているのは、別の生徒。
そして、犬は立っている生徒の犬だけど、車椅子に乗っている生徒がハンドリングする。
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ほら、この犬はリーシを持っている生徒じゃなくって、元の生徒のほうを見てるでしょ?


でも、立っている生徒は何もしない。そこにいるだけ。
座っている生徒が、コマンドをだし、褒める。

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そうすることで、犬は、「あぁ、この人もいい人なんだ」と思い、あたらしい絆を作り上げていく。

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基本的に誰とでもフレンドリーな犬たちが、新しい絆を作り上げるのはそんなに難しいことじゃない。

でも、生徒たちが、今まで愛して育ててきた犬たちを諦めることほうが、よっぽど難しい。


人間とは難しい生き物です。

運命の出会い

2008/10/10 Fri

以前にも一度ご紹介しました、元繁殖犬、ゲイブ

彼が13歳になりました。
最近、すこし耳が聞こえにくくなりましたが、まだまだ元気です!

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13年目前のクリスマスプレゼントとして、子犬だったゲイブを友人からもらったリック。
その当時、まったく犬関係の仕事をしていなかったリックが、ゲイブをきっかけにアニマルセラピーに興味を持ち始め、ゲイブをトレーニングし、セラピー犬にした。
そして、セラピー犬・ゲイブと一緒に、たくさんの場所にボランティアとして尋ね、犬の持つ力にますますのめりこんでいき、さらに人を助ける犬の勉強をするため、7年前、うちの学校のセミナーに参加した。

うちの学校のセミナーを終了後、地元で介助犬プログラムを設立し、ゲイブは繁殖犬になった。
そのプログラムの中で、今のフィアンセとめぐり合った。

3年後、うちの校長がリックをスタッフとして呼び込み、ゲイブはうちの学校の繁殖犬に。

その後、4回、お父さんになり、さらに息子や娘も繁殖犬として子供を生み、今ではうちの学校のほとんど全てのゴールデンはゲイブの子孫。
それだけではとどまらず、ある息子の精子はアメリカ中の介助犬プログラムに送られ、彼の子孫はいろいろなところで介助犬になっている。

そして、リックはゲイブの孫息子3人を連れて、国が注目する元兵士のための介助犬プログラムを立ち上げた。


一人(リック)と一匹(ゲイブ)の出会いは、更なる出会いを呼び合わせ、お互いの人生を変えた。
そして、共に13年間、生きてきた。



どんなにすばらしい犬と出会っても、必ず別れなければならないという宿命を持つのが介助犬訓練士。

しかし、人生で一度は、リックとゲイブのように、自分の運命の犬に出会い、人生を共に歩んで行きたい。

決断

2008/09/17 Wed

介助犬訓練士という仕事をする中で、もっとも難しいといえる仕事は、決断すること

私たちは、犬たちの人生の決断をしなくてはいけない。

ご存知のように、介助犬候補犬として生まれてきた犬たち全てが介助犬になれるわけではない。

持病をもってたり、
吠え癖があったり、
怖がりだったり、
ひとつのことに過激に反応したり、

介助犬になれない理由はたくさんある。



介助犬とは、ユーザーさんたちの安心で安全な生活を与える犬。
そんな犬たちは、常に確実に仕事をこなせる信頼性が求められる。

たとえ、どんなに電気がつけるのがうまくても、ドアを開けるのがうまくても、物をもってくるのがうまくても、そのほかに少しの不安要素があれば、その子は介助犬にはなれない。




この決断を、今日、ウノにした。

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彼は、家にしらない男性がくると、警戒心をいだく。
女の人にはシッポをふって近づいていくが、男の人には後ずさりをし、悪いときはうなる。
モールやレストランなどの公共の場では、その反応を見せないのだが、家になると縄張りを守るのかのように・・・。

性格も穏やかで、お仕事も上手で、主人に対してとても忠実なウノ。
彼は、兄弟の仲で一番の介助犬有力候補にあげられていた。

しかし、この行動は介助犬として許されるものではない。

どんなに、その犬を愛していても、決断をするときは、感情を捨てて客観的に判断しなくてはならない。
でも、その犬を愛しているからこそ、その判断に納得できる。

犬は、自分の人生を選べない。
だからそこ、私たちが彼らを理解し、伝達者となって、彼らにとって一番いい人生を与えてやる。




分かっている。
全ての犬が介助犬になれないことを。
しかし、「育てる犬、全てを介助犬にする!」という思いで、毎日彼らを訓練する。


分かっている。
どんな決断をくだしても、彼らは必ず私たちの元を離れていくことを。
それでも、彼らにはありったけの愛情を注ぐ。



それが、介助犬訓練士。

Heel!

2008/09/11 Thu

月曜日から新しい学期が始まり、生徒たちは介助犬訓練士になるため、少しづつ犬の訓練方法を勉強している。

一番初めのコマンドはHeel(ヒール)

初めは犬なしで、そこに犬がいると想定して、動きやステップの練習。
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かわったダンスを見ているようだった(笑)


そして、広い場所に出て、犬を使って練習。
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コマンドを与えるタイミング、
ターンするタイミング、
目をあわすタイミング、
褒めるタイミング、

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頭では分かっていても、なかなか体がついていかない。

たとえば、初めて平泳ぎを習うとき、陸上でどう腕を動かして、どう足を動かして、いつ息継ぎをするのかを教えてもらって、頭では完璧に理解しても、実際、水の中では、そう簡単にいくものじゃない・・・そんなかんじ。


そう考えると、犬の訓練とは、一種のスポーツのようなもの。

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生徒たちも、犬たちも悪戦苦闘。

でも、みんな楽しそう。

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いい犬の訓練方法の条件、その①

犬も人も楽しめること




P.S.
makimikan

Do you know who is this?
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HOKO

Author:HOKO
介助犬訓練士&インストラクター。
常に向上心をもち、Happy, Happier, Happiestをモットーに、仲間とレトリーバーたちと一緒に過ごしています。
2012年4月に8年間いたカリフォルニアを去り、ハワイで10ヶ月間を過ごし、現在はワシントン州に滞在中。

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